盲腸をあやうく見逃される体験をしたノンセレブです。
みなさん、大きな総合病院に駆け込めば、メジャーなよくある病気なんか一発で治してもらえると思ってませんか?
盲腸(虫垂炎)の症状、教科書どおりとは限らない
盲腸と言えば、左のわき腹が急激に差し込むように痛むなんてことがよく言われてますよね。
わたしの場合は、まったくそんなことがなかったんです。
何となくしんどい。ときどきお腹が痛むような気がする。でも、ガマンできないこともない。
そんなはっきりしない体調不良が数ヶ月続いていました。その間、近所の病院にも何度か行きました。お腹が何となく痛いことも告げました。でも、痛む場所もはっきりしないし、痛みもぼんやりしたものだったので、お医者さんもわたしも、まさか盲腸だなんて思いもしなかったんですね。
だけど、何とも言えない倦怠感がひどいので、なんだか気持ち悪くなって、とうとう街の大きな病院に行ってみたんです。
お医者さんに「何となくしんどい」なんて言いにくい
その病院は、救急外来もある最新鋭の総合病院でした。何科に行けばいいのかわからなかったのですが、最初に婦人科に行きました。総合窓口で状態を相談してすすめられたからだったと思います。
内診を受けた先生には、子宮にも卵巣にもとくに問題はないので、婦人科の病気ではないと言われました。
「やっぱりまた何もわからないか……」とがっかりしていると、
「でもね、血液検査の炎症値がちょっと高いのが気になるのよね。念のために内科で診てもらうようにしましょう。」
と言ってくれたんですね。話しやすい女医さんだったので、ここ数ヶ月、何となくしんどいのが続いていることを話せていたことがよかったのかもしれません。
忙しそうで、話もろくに聞いてくれなさそうな先生だったら、言えてなかったと思います。
お医者さんって、頭がいいとか、腕が確かとか言う前に、話を聞いてくれる人でないと何にもならないなあとつくづく思いました。
患者って、お医者さんの前では、ものすごく立場が弱いですからね。ほんとは、強弱も上下関係もないはずなんですけど。
「盲腸ではないと思うけど、念のため」と言ってくれた先生
内科でこれまでの状況を話したら、やっぱり「よくわからないと」いう顔をされました。でも、何もしないわけにもいかないと思ったのか、
「十中八九盲腸ではないと思うけれど、まあ念のため、エコーで確認してみましょう。」
と、これが運命の分かれ道になったんですね。
それからは、思い出しただけでも笑っちゃうぐらい、手のひらを返したような対応をされました。
突然、車椅子に乗せられて、外科に送られたんですね。急に歩いちゃダメって……。
「盲腸です。至急手術が必要です。」
「えっ、じゃあ準備して来ます。」
「何を言ってるんですか。即入院で、きょう手術します。でないと死にますよ。」
「死ぬ」って、もうわけがわかりません。腹膜炎寸前のひどい状態で、緊急事態だったそうです。たかが盲腸なんて思っていたけれど、コワイことになるんですね。取り出した盲腸は、真っ黒に腐ってたそうです。
「十中八九盲腸じゃない」と言ってた内科の先生、入院中にわざわざ病棟まで訪ねていらして、バツが悪そうに謝ってくれました。でも、この先生のおかげで、盲腸が発見できたのだから、先生は命の恩人なんですよね。もちろん、その前に炎症値の異常を見つけて内科に回してくれた婦人科の先生にも感謝です。結果的にナイスなチームプレイだったんですね。
患者に話をさせる名医
近所に、どこの病院でもわからなかったがんを見つけたとかいう見立てがスゴイと評判の先生がいる。整形外科の診療所の先生なのに、そこにはあらゆる病気の人がやってくる。
若い頃は、救急病院に勤めていたとかで、あらゆることに精通しているそうだ。
ここの診療所では、患者がよく話す。先生は、なじみの聞き上手なおじさんのように、ほとんどうなずいているだけである。ここでは、病院にありがちな患者と先生間にただよう緊張感がまったくない。なんともユルイ雰囲気なのだ。
患者さんはいつもいっぱいで、みなゆっくり先生と話をするのに、ふしぎなことに総合病院のように長く待つことがない。個人の診療所なので、その場でできる検査が限られているせいもある。
でも、一番の理由は、患者がよく話すので、優秀な先生は、正確な見立てが早くできるからではないかと思う。
うちの家族もなにかあるとその先生を訪ねる。
患者に話しやすいと思わせて、些細なことも聞き出せる先生は、タダモノではない。反対に、自分ばっかり話をして、患者を黙らせてしまう先生は、どんなに賢くて偉くても、まあ、大したことないと思っていい。
治療はチームプレイ
お医者さんだって人間なんだから、知らないこともあるし、失敗だってすると思っておいたほうがいい。
医療がどんなに進歩しても、患者が黙ればわからないことのほうが多い。患者自身、わからないことや伝えきれない症状が果てしなくある。
あんまり建物の大きさとか学歴なんかで判断しないほうがいい。
友だちになりたいかどうかで判断したほうがまだ確かかもしれない。
治療は、チームプレイだから。
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